私が,高松高校PTA会長をしていたときに行った卒業式の祝辞です。

(祝辞)

 卒業生の皆さん,保護者の皆さま,ご卒業おめでとうございます。

 心からお喜びを申し上げます。

 また,校長先生をはじめ,生徒に対し,あたたかくご指導いただきました諸先生方にもPTAの代表として心からお礼申し上げます。

 さて,卒業生の皆さんは,もう,自分の人生の将来の目標が具体的に見えてきたでしょうか。

 小学校,中学校,高校と進むにつれ,自分のやりたいことが見えてきたのではないかと思います。

 就職される方も,進学される方も,もう一年受験を頑張る方も,どうか,自分で決めたやりたいことに向かって全力で進んでください。

  私も,高松高校の卒業生ですが,ちょうど皆さんの頃,父がやっていた弁護士や検事,裁判官等の法律家になりたいと思うようになって法学部を受験しました。 しかし,私立には合格したものの,第一志望の国立大には合格できませんでした。

 私が,浪人しようかどうしようか迷っていたとき,父に,「お前は司法試験を目指すんだろう。それなら,もう一年,大学受験の勉強をするより,大学に入って早く司法試験の勉強をはじめたほうが良いのではないか。」と言われました。

 私には,法律家になりたいという明確な目標がありましたので,父のアドバイスに従うことにし,私立大に入学して,さっそく司法試験の勉強をはじめ,幸いにも,卒業した年に司法試験に合格することが出来ました。

 皆さんも,目標を決めたらそれに向かって全力投球をして欲しいと思います。

 必ず結果はついてくるはずです。

 私は,検事を5年やった後,現在は,父と一緒に弁護士の仕事をしています。

 弁護士の仕事は,人と人とのトラブルの中に入っていく仕事ですので,決して楽な仕事ではありません。

 離婚,破産,相続,場合によっては殺人事件までさまざまな事件に出会います。

 でも,皆さんが抱えているトラブルをひとつひとつ解決していくことで,人様の役に立っているのだという実感がもてる仕事だと思います。

 皆さんにも自分が社会の中で役に立っていると実感できるような仕事について頑張ってもらいたいと思います。 そして,それは仕事の中身の問題ではなくて,自分にとって,そう思えるかどうかということが重要なことだと思います。

 最後になりますが,これからの人生を送るにあたって,皆さんには「座右の銘」をもってもらいたいと思います。

 座右の銘とは、常に自分の心に留めておき、戒めや励ましとする言葉を言います。

 皆さんには,座右の銘がありますか。

 

実は,私は,曹洞宗の道元禅師が使ったと言われる「切に生きる」という言葉が好きなのでした。

「切に生きる」の「切」という字は、切るという字ですが、「しきりに。心をこめて」という意味もあるそうで、「切に生きる」とは,「今を大切にして生きよう」ということです。 まだ、これから先のことをいろいろ不安がっても仕方がない。

 過ぎたことをいろいろ悔やんでも仕方がない。 今できるやりたいことを精一杯やろう、そしてやりたいことをやれる幸せを感じようということです。

 この「切に生きる」というのが,今の私の座右の銘だと言えます。

 また,例えば,松下幸之助さんの座右の銘は,「失敗することを恐れるよりも,真剣でないことをおそれたい」であり,また,陸上の野口みずき選手が,「走った距離は裏切らない」,だそうですが,その人と,なりが,あふれていると思います。

  これからの人生,楽しいこと,そうでないこと,いろんなことがあると思います。

 皆さんも是非,「座右の銘」をもって,その気持ちを絶えず忘れずに過ごされることを期待します。

 皆さんが、伝統ある高松高校の卒業生として、実りある人生を過ごされることをお祈りし、お祝いの言葉とさせていただきます。

 頑張ってください。

 本日はご卒業おめでとうございます。

              平成19年3月6日